株式会社ソフィットウェブコンサルティング 代表取締役
ビジネスコンサルタント 吉枝ゆき子です。
コロナの感染拡大予防の外出自粛に伴う飲食店の方の営業への影響が心配される中、
ネット販売や
テイクアウトやデリバリー対応など新しいチャレンジを開始されるお店も増えてきました。
テナント料などの固定費の負担をかかえる飲食店にとって「売り上げの効果が出やすいか」という視点で考えてみました。
ネット販売を始めるべきか?
「アフターコロナ」を見据えて「デジタルシフト」が叫ばれている中、
ネット販売に乗り出されたい方も多いのですが、
もともと知名度があるお店であったり、特徴的なメニューをお持ちなど
よっぽどアピールポイントが明確な商品でなければ、
ネットショップを開設すればすぐに売れ始めるほどネット販売では簡単ではありません。
普段からSNSなどを活用しているお店でしたら
BASEなどで無料で簡単にネットショップを立ち上げ、SNSで告知をすることで
アクセスが見込めますが
見込み客へのアプローチにもなるSNSもやってこなかった、となると
ネットショップを立ち上げても
まず、「どのようにアクセスを集めるか?」という壁にぶち当たります。
顧客が全国、世界へと無限に広がるように見えますが
一方で、競合についても、全国の競合と比較される中で選んでもらわなくてはいけない厳しさがあるのです。
店舗での飲食提供以外に収入の柱を作るという意味で、
通販事業は、長期的に取り組んでいかれることはおすすめしたいですが
それには、「どのような商品を販売するか?」「競合商品は?」「日持ちは?」「ギフト対応したパッケージは?」「どうやって知ってもらう機会を作るのか?」「アクセスを増やすための取り組みは?」などきちんとした戦略が必要です。
売れるネットショップを構築するには、デザインなどの作りこみも必要で有料テーマを購入したりWEBデザイナーに依頼するなど構築費用がかかります。
また、ネットショップを維持するだけでも、
カラミーショップなど比較的安価なネットショップASP(アプリケーションサービスプロバイダー)であっても、月額980円+常時SSL対応オプション1,000円 など月額2,000円は最低かかる金額と考えてください。
落ちた売り上げを早急にカバーするには、結果が出るまでに時間も費用も手間もかけて取り組むべきものと考える必要があります。
ただ、飲食店を支援しようとする取り組みはSNSなどでも呼びかけが始まっているので、そのようなところで発信しつつ、購入できる仕組みとして無料のネットショップツールBASEのようなものを使って「購入できる仕組み」を持っておくのは効果的だと思います。
デリバリーやテイクアウトの予約注文時の事前決済の仕組みとしてのネットショップを
また、テイクアウト品の予約購入やデリバリー料金の費用などクレジットカードで事前決済してもらう仕組みとしてもネットショップは活用できます。
事前決済してもらう仕組みにすれば、
お弁当を注文があったお客さんが、何かの事情で断りのないまま取りに来なく、支払いもないまま損失になってしまう、ということも避けやすくなります。
クレジットカード決済は、ポイント還元や、キャッシュレス決済の還元なども受けられるので顧客も希望が多いはず。
また、
配達時の現金の受け渡しの必要がないことは、配達員の感染リスクを減らすことにもなります。
ただ、BASEのような無料のネットショップツールは、ネットショップを立ち上げる仕組みとしては、圧倒的にシンプルで簡単ですが、決済手数料として6%~7%取られるほか、自分の銀行口座に入金する際に振り込み手数料がかかります。
クレジットカード決済の導入だけなら「PayPalビジネスアカウント」の利用のほうが手数料は抑えられます。
ただその場合、別途、ホームページなど商品紹介のためのサイトが必要になります。
状況に応じて、実現方法は変わります。
そもそも、店舗運営の飲食店でデリバリーは保健所許可はどうなの?
以前、飲食店営業の方に「宅食」を始めたら?とご提案した時に「うちは、デリバリーの許可は取っていないから無理」と言われたことがあります。
あれ、そうだっけ?
確か、キッチンカーのお弁当でも、飲食店の空いている時間の厨房を借りて作って販売している人はたくさんいたはず、
他にも、カフェ営業許可のキッチンで、地域のお弁当宅配を始めた主婦のグループもあったしなぁと。
私が調べなおした限りでは、デリバリーについては通常のカフェ営業でもデリバリーをしても大丈夫そうです。
ただ、保健所の飲食店関係の許可は、自治体によって大きく判断基準が違うので個々にご確認されることをおすすめします。
逆に「通信販売」などのネットで作った食品を販売をされるにあたっては、きちんと「閉じた空間」で製造がされている必要があるなど通常のカフェ営業などの許可よりも厳しいはずです。
お近くの保健所にご確認ください。
テイクアウトやデリバリーの集客方法をどうするか
テイクアウトやデリバリーはすぐに取り込めることから
早速、お店に貼りポスターや看板を出しているところも増えてきました。
ただ、テイクアウトやデリバリーを始めたことについての告知方法はどのようにされているでしょうか?
これまでもSNSやメルマガ会員、LINE会員などファン顧客に告知する手段を持っていたお店は
活用できますね。
地域ごと、テイクアウト&デリバリー対応の飲食店のネット上のマップに登録してもらうような方法もあります。
けれど、多くがお店の前の張り紙であったり、看板であったり。
でも、それでは、お店の前を往来する人が減っている今では、なかなか気づいてもらうことができません。
売り上げアップを早く目指すなら、プッシュ型の集客方法を使うべき
集客には、プッシュ型の集客方法と プル型の集客方法があります。
自社のホームページを更新することや
店舗前にチラシや看板を掲げてアピールすることは「プル型(=引く)集客」です。
アクセスして来た人に見てもらって
前を通りがかった人に見てもらって
初めて気づいてもらえる集客方法なのです。
けれど、需要が縮んでいる今、必要なのは「プッシュ型(=押す)集客」です。
お客さんが行動をとらなくても、目の前に飛び込んでくる情報として提示し、アプローチする必要があります。
ネットの世界であれば、メルマガやLINE会員に送るメールやメッセージがそうですし、
リアルの世界ではれば、チラシ配りやポスティングになります。
在宅率が高い今は、チラシ配りよりポスティングでしょう。
私が今、飲食店の方におすすめしたい方法は「デリバリーメニューのポスティング」をすることです。
実店舗で人通りがあった時には
「待ち」でもよかったかも知れません。
店舗前に「デリバリ―始めました」の看板を出すだけでは、まだまだ「待ち」のスタンスです。
でも、今は、もっと発想を柔軟に やり方を変えていかなくてはいけません。
デリバリー特化した飲食店に学ぶ
私が住む住宅エリアのはずれに小さな「中華料理のお弁当屋」さんがあります。
店内に飲食スペースはありません。
駅から遠く、人通りが多い通りに面しているわけではありません。
近くに学校があるので、先生たちがお弁当を買ったりはするようですが、
それ以外は、車でやってきてはみんな買っていくほか、
私が知る限りですが、もう16年以上前からデリバリー対応もしてくれています。
ファミレスがデリバリー対応始めるよりずっと前からです。
ポスティングで「メニュー表」が配られているので
それを、我が家では電話の近くに控えており、
私が料理を作れなかった時には、
子どもに電話してもらってデリバリーを利用していました。
・中華料理は野菜も入っているし、栄養バランスもいい。
・唐揚げは、子どもも大好きなので、大喜び。
・ご飯だけは炊いてしまえば、おかずだけの追加でOKなので、ご飯の分量が多いお弁当を買うよりも価格も割安。
・さらに一定金額以上ならデリバリー料金なし!
いいこと尽くしで、ありがたい限りです。
一人暮らしなど、少人数家庭用にお弁当メニューもありますし。
本格中華料理店に近い、単品メニューも豊富です。
電話口でも注文しやすいようにメニュー表に番号が振られていうのも工夫されていていいですね!
子どもでも間違いなく注文できるんです。
高齢者向け宅食ニーズを取り込む
我が家の住宅のエリアは、駅から坂を上ったところにあるし
お年寄りも多い。
駅前には焼き鳥屋さんやスーパーのお惣菜販売もありますが、
わざわざ買いに行くのは手間なんです。
このエリア一帯の「お料理配達」の需要を取り込むにはとってもいいなぁ
と思うのですが
STAY HOME状況下の今でも、
飲食店さんのデリバリーのチラシって 入りませんね。
不思議です。
ネットでの集客を始めるのもいいですが
それより
目の前の、近くのお客さんにアピールする方が
よっぽど早い。
それも、やみくもにネットで配達エリアを広げてしまっても
あっちからもこっちからも、細かい注文が入って大変なばかりです。
ニーズがありそうなエリアに絞って配達ニーズを拾ったほうが
配達効率もよくなるはずですね。
デリバリーメニューも、
できれば、店舗のメニューそのままよりも
・「コンビニ弁当にない価値」
は何だろうと考えながら
メニューの工夫をされるといいと思います。
さっきの「中華のお弁当屋」さんが
まさに、スーパーの総菜コーナーともコンビニ弁当とも「差別化」を図っていたのは
見事です。
他にも、より「健康志向を高め」たり「高齢者向け」を意識したりする方向性もいいと思います。
高齢の方には、血圧や、コレステロールや、塩分糖分の摂りすぎなどを気にしている方もいますね。
糖尿病や退院後など健康を意識している方は多いです。
でも、毎日食事を作って食べるほどには気力も体力も衰えつつある。
妻に先立たれてしまった男性は、食事が疎かになってしまっている人もいます。
高齢者向けの「宅食」のニーズはとても高いです。
給食のない時期の学童保育でのお弁当ニーズを取り込む
学校が休校で家で過ごす子どもに向けた宅配弁当ニーズもありますね。
学校の給食がなく、朝から子どもが一日過ごすことになる学童保育でも、「お弁当需要」はあります。
私自身、かつて夏休みに子どもを学童に預けて仕事に出ていましたが、
毎日作るお弁当作りは大変でした。
学童保育に通わせる親同士で注文を取りまとめて、お弁当屋さんに届けてもらう手はずを整えたこともあります。
さらに、子ども向けのお弁当宅配を考える時
「アレルギーの子ども」に向けたメニューの工夫まで出来ていれば
「選んでもらう理由」ができます。
昔と違って、今、乳製品や卵など食物アレルギーを持つ子どもたちは、想像以上に多いのです。
もしかしたら、そういうお子さんたちは、これまで来店してきたお客さんの中にはいなかったかも知れませんから
そういうニーズがあることも意識していく必要があります。
・「家庭で作る料理では出しにくい味や演出は何だろう」
そんな風に考えてみていただけるといいと思います。
以前からマクロビ料理を作るシェフの家庭への派遣ビジネスは人気なんですよ。
「マクロビ」というと、料理の世界の方は、とてもこだわりの強い、一部の方のニーズのように考える方は多いのですが
一般の人にとってはもっとゆるい、「健康料理」の代名詞のようにとらえている方も多いです。
病気療養中で食事療法に取り組みたい方は、健康に役立つ食事には惜しみなくお金をかけようとする方もいることは知っておかれるといいと思います。
デリバリーを頼むお客のメリットを増やすためにできることを徹底的に考える
私自身は主婦目線から考えると
「ちゃんと野菜が摂れるか?健康的か?」はデリバリーを頼む時の大事なポイントです。
デリバリーのピザもありますが、子どもは喜んでも野菜は大して摂れません。
となると、結局、ピザを頼んでも、栄養を補うためにスープやサラダを作ることになる。
それでは、外からデリバリーを頼むより、面倒だけど自分で作るわ、となるのです。
それでは、デリバリーを頼むことによって、食事作りの手間が省けるというメリットが薄れてしまいます。
過去に開発されて、今は高齢者ばかりが住むようになっている
駅から少し離れた「団地エリア」なんかもデリバリーの需要がありそうです。
そんな方たちは、ネットでデリバリー店舗を探しませんよね。
「チラシ」のポスティングではなく「メニュー表」のポスティングであるのは
配布するのは「デリバリー始めました」を知らせるためのチラシでは効果は薄くなります。
「メニュー表」に「デリバリー始めました」のミニチラシをホチキス止めするのがいいのではないでしょうか?
それは、「メニュー表」だと、「今すぐ頼まないかも知れないけれど、必要な時に頼めるように取っておこう」と考えてもらえる可能性が高いからです。
「チラシ」であれば、「ふぅん」と読んだら捨てられて「忘れさられてしまう」ことになりがちです。
「とっておいてもらえる」ことが大事なですね。
また、「チラシ」を開いたら、なんとなく、お店にいるように錯覚をして料理を選びだしたくなりませんか?
飲食店でチラシを眺めている時間は、お客さんにとって「幸せな時間」です。
おいしい食事が目の前に運ばれてきて、味わいを楽しみに口にする、その瞬間を想像しているからです。
そして、「おいしさを想像させたら」その時には、お客さんは、もう料理を頼みたくなっているのです。
ポスティングの方法は「新聞の折り込み広告?」
ポスティングは、新聞折り込みなんかの方法もありますが、あまりお勧めしません。
一緒に入ってくる他のチラシと一緒にまとめて捨てられるのが落ちです。
できれば、費用もかけられないでしょうから、ご自身でポスティングをされることをおすすめします。
ご自身でポスティングをする中で、
そのエリアにどんな人たちが住んでいて、どんなニーズがありそうなのか、
暮らし方を観察し、想像することができるでしょう。
これまでは、あちらから、お店と好みが合うお客さんが、あちらから選んできてくれましたが
デリバリーで新規顧客を開拓しようとするには、選んでもらえるように合わせて、お客さんの中に入っていかないといけないのです。
お店の押し付けではなく、
柔軟に発想を変えていく必要がありますね。
嫌でも目に留まる「メニュー表のポスティング」
やってみたらいいのになぁと、思います。
資金がないときでも、アイデアはお金がかからず無限です。
智恵を絞って、乗り越えていきましょう。
投稿者プロフィール
- ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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