「アフターコロナ」で目指すべきなのは本当に「デジタルシフト」なのか?
コロナ禍が収まった後も、「以前の社会が戻ると考えずに、次を見据えて変わることが大事」「人の価値観は大きく変わるから消費行動も変わるから」ということを1か月ちょっと前の3月30日発行の女性起業UPルームのメルマガで書きました。
最近「アフターコロナ」や「ウィズコロナ」という代名詞で、コロナの後、もしくはコロナの感染リスクの中でも動かしていかなくてはいけない社会がどのように変わっていくか、について論じられているのをよく聞くようになりました。
その中での一番のキーワードになっているのが「デジタルシフト」。
人が物理的に動くことが制限され、
人が直接、その場に行って「体験」することが制限され、
買い物はECに、
セミナーや授業はオンラインに、
それに合わせて提供されていたコンテンツも「デジタルコンテンツ」に。
デジタル化されると「どこでも、誰でも、コピーや配布、再利用がしやすく」なることで「生産性」「効率」という点ですばらしい可能性があります。
私も本来、文系の人間でありながらビジネスにおけるインターネットの活用を強く後押ししてきた中には「デジタル化」することで生まれる「リアル」にはない可能性が小規模でマンパワーがない女性の起業家にとっては有効な場面が多いからと考えるからでもあります。
ただ、この「アフターコロナ」で、全部が「デジタルシフト」へ向かうことがすべてなのか?ことについては強く疑問を感じています。
そもそも「理不尽」な災いだと考えると『次へ』の一歩が踏み出せない
私自身、何かの宗教を持つものではないですが、普段から「ものごとには意味がある」と考えています。
病気や何かのトラブルにあった時、「何か引き起こす原因になったこと」があるとしたら、それに気づいて修正するきっかけになりますし、
起業相談でたくさんの方とお話する中で、過去のお仕事の経験や、時には、病気や結婚、離婚、家族の心配ごと、転勤、転職。。。いろんな人生の転機になるような出来事についても伺うことがある中で、「それらを経て、この方は、まさにこのビジネスをやるために経験をされてきたんじゃないか、」と思う場面が何度もあったことからその考え方を強くしてきたのもあります。
また、何か困ったことがらについて、人が一番不安や落ち込みを感じ、そこからの出口を見つけ出せないのは、その出来事に対しての「意味づけ」ができない場合だとも考えるので「あえて『意味づけ』をしようとしている」のもあるかも知れません。
「なぜ、自分が(もしくは 大切なあの人が) こんな目に遭わなくちゃいけなかったんだろう。」
その「答えが見つからない」と、ぐるぐると その思いから抜け出せないで、「次へ」向かっていくことができないということがよくありますね。
カミュの『ぺスト』という小説も、理不尽な出来事の中で、人間がそれぞれの立場でどのように考え、悩んで行動したか、について書かれていると聞きますが『理不尽』に見舞われる災害について、なすすべもないことも多いです。
でも、『次へ』向かう時には、何かしらその出来事に対して「意味づけ」をした理解の中で、「指針」を見つけていく必要があるのではないでしょうか。
このコロナ禍は「温暖化抑制」のために起こっていると考えると
もし、このコロナ禍を、「人間」にとってではなく「地球」にとって、考えると『地球温暖化抑制のために起こった』と考えると私の中では納得感が強いのです。
人の動きを止めることで、飛行機を使った大規模な移動がなくなり、
増えすぎて、欲望のままに自分たちで「温暖化抑制」のための取り組みが出来ない以上、地球の環境保全のために人間の数を減らすしかなくなった。
実際、ノーベル賞受賞者13人を含むBASの科学・安全保障委員が設定する「終末時計」の針は、2020年1月24日のニュースで「『終末時計』残り100秒、史上最短に 気候変動や核問題で」であると危機的な状況であることが報じられました。その中では、核拡散や気候変動対策の遅れ、「サイバー空間における偽情報」の広がりを理由に挙げられています。
BBCニュース「『終末時計』残り100秒、史上最短に 気候変動や核問題で」
実際、2020年5月10日のニュースで「温暖化ガス、コロナで急減 今年はリーマン時の6倍」の記事で「新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停止で、2020年の温暖化ガスの減少が過去最大となるとの試算が相次いでいる。国際エネルギー機関(IEA)は減少幅をリーマン・ショック後の09年の6倍と試算した。」と報じています。
日経新聞「温暖化ガス、コロナで急減 今年はリーマン時の6倍」
水質がきれいになってイルカが戻ってきた海もあると聞きます。
「デジタルシフト」の流れは「温暖化抑制」の一部である
「デジタルシフト」の流れが必要ないのか、というとそうではなく、「温暖化抑制」の観点から当然推進すべきこと、と考えています。
けれど「デジタルシフト」やそれによってもたらされる「効率化」だけに注視しすぎると見落としてしまうことがあるのではないかと考えています。
目指すべきゴールを「温暖化抑制」だともう一段上の視点で捉えなおすと「デジタルシフト」はそのために必要な方向性の1つに過ぎないことに気づきます。
都心部への人口の一極集中なども見直される流れは良い方向でしょう。
仕事のあり方が変わって、地方への移住者も増えるかもしれません。
海外からの輸入食材に頼りすぎていたことへの見直しや、仕事場をなくした方が農業へ回帰していく流れも出てくるかもしれません。
これまでは「地方に移住しても、そこで生活できる産業がなく」
移住者の話を聞いても、「自給自足生活」にとどまっていたり、
自治体から地域活性化の仕事を請け負っていたり、
経済的に社会に何かを提示しつつ収入を得るような形で自立していけている人ばかりではないように感じていました。
けれど、少し前に、地方の自然エネルギーの発電能力を生かして「売電」により地域全体が収益を得て公共サービスが安価で受けられるような仕組みが整いつつあると知り、とても可能性を感じました。
そもそも、日本の地方には、太陽光だけでなく、水力発電や地熱発電、バイオマスなど、自然エネルギーの発電ができる資源が豊富にあります。
「デジタルシフト」と合わせて「自然エネルギーへのシフト」も考えていくきっかけにすべきなのではないでしょうか?
下記、環境省の資料が参考になります。
「地域における再生可能エネルギー事業の支援について 平成29年11月環境省 大臣官房 環境経済課 資料」
人間は、コロナ禍を機会にもっと「自然と共生しながら 経済的な生産性を高めていく方向」へ知恵を絞っていかなくてはいけないのだと考えます。
コロナと温暖化の関係についても、いろんな方が危惧をしていますが、
せっかくコロナで温暖化の進行が止まる方向に進んでいるにも関わらず、経済活動の再開と共に元の生活スタイルに戻って温暖化ガスの排出量が増えるのでは目指す方向と外れてしまいます。
「農業」の重要性が見直される
これから「農業」の重要性が見直される傾向があるのをいろんな分野での変化から予想しています。
「農地」の価値が見直されている?
投資家の方たちの発信を見ていると、「金融危機」が起こり、通貨の価値がなくなり、デフレが起こる、そんな悲観的なシナリオに備えなくてはいけないのではないかという意見が出てきています。その時、価値が確かなものは「通貨」でないとしたら「金」ではないかと考える人は「金」を買ったりするようですが、そのような中でも究極的に価値が残るものは「農地」である、という考え方には、なるほど、と思いました。
どんな世の中になっても、農作物が作って食べるに困らない、農作物を売って生活できる、この基盤を持てるのは強いのかも知れません。
「食」の輸出規制が始まる?
既に、中国からの家畜のえさになる穀物の輸入が止まったことによって、米国内の豚肉、牛肉の価格の高騰が起こっているそうです。
食料自給率の低い日本で海外からの食糧の輸入が出来なくなれば、国産の農畜産物への需要が高まることになるでしょう。
また、温暖化抑制のために「牛などの家畜を減らすことが有効だ」という考え方があります。飼料穀物が輸入できなくなっていることと合わせて、
大豆など植物性タンパク質による「代替肉」を作る「ビヨンドミート」の株が上がってきています。
今後、植物性タンパク質の需要は高まると考えています。
「免疫力」を高めるために安全性の高い健康食へ
今後、新型コロナウィルスの感染リスクの中で生活することが必須となると、もしかかっても軽症で済むためにできることとして注目されるのが「免疫力」を高めること。そのために、食事による健康法も注目されますし、知るにつれ国産、無農薬、有機栽培へとこだわりを強めます。
発酵食品の分野は、ますます伸びる可能性を感じています。
人間らしい幸せな生活に本当に欠かせないモノは何か
「デジタルシフト」が果たす役割は確かに大きく取り組むべきことの一つです。
これは「AI化」の流れともかかわっています。
それまで、その職場にいた人たちにとっては大変なことですが、多くの仕事がなくなろうとしています。
ですが、デジタルシフトで対応できない仕事がたくさんあることも忘れてはいけません。
まさにコロナの患者さんに取り組む「医療従事者」の方たちがそうでしたし、
休業など許されない「保育」や「介護」「障害者」などのケアや養護の現場です。
それは「人間にしかできない仕事は何なのか」という問いにもなってきています。
本当に人間らしい幸せな生活に欠かせないモノは何なのか。
コロナ禍の中、誰しもそこを突きつめて考えることを求められています。
「アフターコロナで、どんな仕事や産業、ビジネスが求められていくのか?」と予測するには
それは、人間がどの方向に進むべきなのか と長期の視点で考えることが必要です。
・「デジタルシフト」は手段の一つ
・「温暖化抑制」のために取り組むべきことは何かと考える
・コロナ後の経済対策で排出ガスを増やす以前のスタイルに戻ってはいけない
投稿者プロフィール
- ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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