2040年には高齢者の40%以上が一人暮らしに
令和3年版高齢社会白書によると2020年で65歳以上の独居世帯の数は702.5万人にも上っています。さらに今後の推計では、2030年には795.9万人、2040年には896.3万人。
2040年には全国で65歳以上世帯の40%、東京都では45%が独居になることが予測されており
孤立死(誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死)を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の一人暮らし世帯では50.8%と5割を超えていて、一人暮らしの60歳以上の者の5割超が孤立死を身近な問題と感じているのが分かります。
家族とも疎遠な暮らし高齢者が増えている
一人暮らしが不安になった時に入る高齢者施設でも、入居時に「保証人」などを求められることも多く、それは、料金などの支払いだけでなく、入院が必要になった時などの判断や、亡くなった時の引き取りなど、あらゆる面でご本人以外の対応が必要になるからとのことなのですが、逆にこれがハードルになって、介護が必要になっても、一人暮らしを続けなければいけない状況を生み出している状況が想像できます。
さらに家族はいるものの、関係が疎遠になって、亡くなった時の遺体の引き取りすら拒否されるケースが増えていることが日経新聞などで以前から報じられています。
病院で亡くなった遺体の引き取り手がない場合、行政で火葬などの最低限の手続きが取られますが、今後ますますそうした方々が増えることに対応し、2016年に、いち早く横須賀市が身よりのない方が亡くなった時に葬儀などを生前に契約するサービスを官民協業で立ち上げた取り組みは注目を集め、同様の取り組みは大和市などでも始まっています。
孤独死の不安は、高齢者に限られない 増える「おひとりさま」にも同様のニーズが
コロナ禍で、感染したけれど病院での受け入れ先が見つからず、症状が悪化したことに気付かれないまま手遅れになって亡くなった方のニュースで、こうした孤独死の不安を感じたひとり暮らしの方たちは多かったことでしょう。
とかく、孤独死の心配は高齢者に目が向けられがちですが、女性、男性とも一人暮らしは全体に増加傾向があります。
高齢者の介護やコロナに関わらず、がんなどあらゆる病気においても、今後、単身の方が自宅で療養されるケースは増えると想像できます。SNSなどで他の方とつながっていたり、職場のつながりがある方なら異変に気付かれることもあるでしょう。
短期での就労で職場とのつながりが少ない方や、引きこもりに近い状態にある方は、異変に気付いてもらえない可能性が高いです。SNSでもゆるいつながりであれば、自宅の場所も分からないまま、「最近、更新がないなぁ」くらいで流されてしまうこともあるかも知れません。
賃貸業の大家さんも、孤独死のリスクは高く、気づくのが遅れた時には、現状復帰にかかる費用は大きなものです。
「孤独死の不安」は、高齢者に限定されず、社会全体でも解決すべきニーズが高く、行政以外のビジネスでも色んな参入の機会があるように感じています。
安価で、見守られる側にも負担なく、自然な「見守りサービス」
万一の時に、いち早く状態の悪化に気付いて対応できるための「見守りサービス」は安価で仕組み化できないものかと、実は、「見守りアプリ」などの開発を検討したことがあったのですが、意外にもiPhone側のセキュリティなどの仕様から、アプリの使用状況などから通知を送るようなサービスの実現は厳しいことが分かりました。
以前から1日使われていないと家族に通知が送られる象印の湯沸かしポットによる見守りサービスも、すばらしいものだと思っています。
定期的に電話をかけるような見守りサービスも、各社、導入されていますが、見守り頻度を高くする必要がある場合ほど、日々の普通の動作の中で元気でいることが分かり、見守る側の負担も減らしておかないと、サービスは安価に提供できません。
象印のみまもりサービスでは月に3,300円となっているようです。
https://www.mimamori.net/service/#price
月額180円~ 点灯しない時にメールで通知「ハローライト」
最近、毎日使う電灯に、メール通知機能がついた、こんな素晴らしい商品が開発されているのを知りました。
月額180円~と 安価で、万が一、1日以上点灯しない場合にメールで通知があるという、上記で書いた「見守りシステム」としての条件を満たす素晴らしいものだと感激しました。
あとは、異変があったことを誰に知らせればいいようにしておくか
異変の通知が、ハローライトで可能になると、あらゆるサービス提供がしやすくなるのではないでしょうか。
既に、数年前から、私のクライアント様とは、この「おひとりさまが亡くなった後のサービス」を提供することを前提としたサイトを立ち上げています。
行政書士さんなどとの提携を増やして、より具体化けできないかと考えているところです。
あらゆる世代の「おひとりさま」が抱える不安に答えるビジネスにチャンスがある
「おひとりさま」マーケットは、とかく、その生活スタイルの自由度で、旅行や趣味などの需要が高いと注目されることが多かったように感じています。
「おひとりさま」は、独身の方だけではなく、男性より平均寿命で長生きする女性のほとんどが、「おひとりさま」に向かっていくともいえるでしょう。
・金銭的な管理を夫に任せてきたが、夫に先立たれたあと、自分の老後の資金管理についての不安を感じている妻
こんな方たちも、信頼して安心できる相談先を求めているかも知れません。
家族関係が希薄になり、頼れる家族がいない方も増えています。少子化で家族も少ない、離婚率も、独身率も高い、日本社会において、あらゆる世代の「おひとりさま」が抱える不安に取り組むビジネス市場は拡がると予想しますし、社会においても今後選択できる質のよいサービスが増えていくことが必要なのではないかと考えています。
<追記>日経新聞のコラムから
上記の記事を書いた数週間後、日経新聞で「人生後半はじめまして」というタイトルで書いていらっしゃる岸本洋子さんのコラム(2022年5月16日版)で、コロナ禍の中、持病の腸閉塞で治療にたどり着くのが遅れた経験から、やはり、一人で体調に異変があった時の「もしも」に備えるサービスを探そうとした時に、多くの商品が「高齢の親を心配する子供向け」に書かれた内容が多く、若い人にも同様の心配や不安があることが意識されていないのではないか。「全世帯の4割近くがひとり暮らし。家族による救急通報を期待できない人は多い。」と書かれていました。同じ意見を持つ方はいらっしゃるのだと思いました。
投稿者プロフィール
- ITコーディネーター(経産省推奨資格)、ウェブ解析士上級、SEO対策1級、中小企業診断士2021年経済学、経営法務科目合格
(独)中小機構販路開拓アドバイザー、中小企業庁中小企業119登録専門家、神奈川県産業振興センター、千葉県産業振興センター、全国商工会議所登録専門家。各所で、起業相談、HPの改善アドバイスや女性起業セミナー、ネット集客セミナー講師。「結果を出す」にこだわり、幅広い分野のクライアントで集客改善事例多数。
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